料理やレシピの本を見るのが大好きだけれど、読む料理の本はもっと好き。
今日読み終えたのは「おべんとうの時間」(阿部 了=写真、阿部 直美=文)。
お弁当の写真と、インタビューを書き起こしてまとめた文章がそれぞれ見開き1ページずつで1人分を紹介。
レシピや料理のヒントは一切なし。
あるのは、トーンを抑えた「おべんとう」の写真と、読んで良かったーと思うデザートのような文章。
お弁当には並々ならない思いを感じている私。
美味しい母のお弁当の思い出があるわけでもなく(母は料理が嫌いだった)、デートの時のお弁当で夫を釣ったからでもなく(いや、夫が持参した母親のお弁当を半分もらっていたんだった)、子育て中のある日突然「私、お弁当を作るのが1番好きな家事だわ」と思ってしまったのだった。
私の「おべんとうの時間」はこちら(朝ごはん ときどき お弁当より)
仕事をしながらも毎週末ピクニックに出かけた我が家。
おにぎりとウィンナーだけのお弁当がヤケに美味しかった。その後、張り切りまくって作った遠足や運動会のお弁当、高校生の娘に「これでどうだ!」と母の威厳をふりかけた嫌みなお弁当。
お弁当作りが好き!という思いが家事を支えた感もあるくらい。
一昨年まで、3、4ヶ月に1度、ひとり暮らしの母を見舞うため羽田-宇部間の全日空を利用していた。
仕事を終えて夕方の飛行機に乗り込むとすぐ機内誌『翼の王国』を手にとって、「おべんとうの時間」を読んだ。いつも外れなしのお弁当と文章。毎回満足して、荷物の少ない時は、『翼の王国』を持ち帰ったりもした。
それが、1冊にまとめられたのが『おべんとうの時間』。
本文中のエピソードには、更にバックグラウンドエピソード(って何?だけど、そんな感じ)も納められていて、それがまたとても素晴らしい。
キャピキャピのお弁当なんか1つもなく(という写真の撮り方?)と、速読なんかしたら良さがわからないだろうと思うような良い味わいの文章。
もし、誰かに何かをプレゼントしたくなったら、この本にしようと思う。
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