「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(小林 せかい著)を読んで以来、どうしても行ってみたいと思っていた未来食堂。
未来食堂から徒歩15分くらいの所にある順天堂医院に何年も通院しているのに、受診日が月曜日で未来食堂の定休日と同じという不運のため延び延びになっていたのが、担当医の診察(曜)日変更で、やっと未来食堂のランチを楽しむことができました。
待った時間が長い分、気持ちも強くなるし、サイト閲覧で情報もため込むし…、で初回にしてベテラン客のような私。
それでも驚く、サービスの早さ。
イスに座った途端お盆に乗ったランチが出てきたのです。本に書いてある通りなのだけど、それでも驚くタイミング。
お店に片足を入れてから6秒とか、イスに座って3秒とか…いろいろ言われているけれど、それは全然大げさな表現ではなかったです。
この日の献立は
鰹のタタキ、香味野菜たっぷりのっけ。自家製レモンポン酢で(かつおにみょうが、しそ、かいわれたっぷりのっけます。ご飯にのせてどうぞ。レモン入れて、爽やかな夏のお刺身です)
未来食堂サイト
写真にあるように、ゴーヤと炒り卵、数種類の野菜の甘酢漬けの小鉢、お味噌汁、空っぽのご飯茶碗(写真はよそったあと。お茶碗は木製漆器)のラインナップ。
お盆の横には「おひつ」が鎮座しているという一風変わった定食屋さん(やっぱり本の通り)。
自分でご飯をよそうのは、もちろん合理的な意味があると思うけれど、親しい家でご飯をいただくような気分がして、いい感じでした。
食が細い私は適量のご飯をよそえるのがとても有り難かったけれど、反対に食べても食べてもお腹が空く若者には何よりのサービスではないかしら。
そういうことが、得だとか損だとかいう話とは別次元の、店主さんの言う「未来食堂は あなたの"ふつう"をあつらえます。」に繋がっているのだと思いました。
ひとり箸を進めていると、
「暑い日だし、魚はどうしても生臭さが少しあるので、味噌汁に生姜を入れてさっぱりした感じに仕上げました」
と店主さんから声をかけられました。
実は少し話してみたい気持ちはあったのですが、仕事の邪魔をしてはいけないし、元々私はそんなに気軽な性格でもないし…。
お客さまが少ない時間(順天堂の予約時間の関係で11時過ぎのランチでした)だったので、店主さんも少し余裕があったのかもしれません。
「すごく美味しいし、料理と合いますねー」と話しつつ、鰹の上に乗っている異形のモノに目をやると…「それはナスをスライサーで薄切りにしたものです。和風のよい感じになるので…」って。
これもお初! ナスをスライサーで…って発想は皆無だもの。
ご飯7分目、たくさんの野菜、美味しいお味噌汁をアッという間に食べ終わったところに「お客さまからの頂き物です」と、ミルクせんべいと新しいお茶がでてきました。
いやいや、これも本に書いてあった通り。別のお客さまの好意をお裾分けしてもらって、本当に有り難いことです。
ミルクせんべいを食べていたら、修行のため、未来食堂でまかないさんをしていた女性からご挨拶がありました。
10月に大阪の高槻市で「テマヒマ」という食のセレクトショップ&カフェをオープンする予定だそう。
「味噌ソムリエの店主が味噌を中心に発酵食品をつかったお料理をつくります」と、いただいたチラシに書いてありました。
神保町まで1年3ヶ月の私だから、高槻までどれくらいかかるんでしょう? 行ってみたいけれど。
未来食堂には「あつらえ」「ただめし」「まかない」「さしいれ」など、他ではお目にかかれないシステムがいろいろあります。ミルクせんべいは、つまり「さしいれ」です。
本か、未来食堂のホームページをじっくり読むと、店主さんの考えやそのやり方が理解できると思います。
「まかない」と「ただめし」も実に興味深いシステムです。
お財布を忘れて外出し空腹で死にそうになったり(偶然神保町ならね)、貯金がゼロになったりしたら、未来食堂に行こうと思います。
見知らぬ人の好意で食事にありつき、その「ただめし」のお礼に「まかない」をして、ただめし券を入り口に貼ってこようと思うのです。
そんな誰かの急場をしのいだただめし券たちが壁のファイルに整理されていました。
料理の美味しさ、雰囲気の良さ、店主さんの思考の素晴らしさ、何もかも気に入ってしまったので、4週毎の通院は未来食堂のランチ経由と決めました。
店主さん3冊目の著書「やりたいことがある人は未来食堂に来てください 「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法」は、すごく具体的で詳細で、かなり優れたビジネス本ではないかと思います。
ビジネス本はあまり読んだことがないのだけど、そんな予感。
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