最大の難点は、最後近くの誤解が説けるあたりから幕切れまでの流れだと思う。他にも最大でないだけで難点は多々あり、ちょっと乗りきれない物語だった。
「もしも、私があなただったら……。もしも、あなたが私だったら……。」 の発想は悪くないし、この願いは同じ事なんだという姿勢に温かいものを感じるのではあるが……。「相手(あなた)がして欲しいことをする」という事が、必ずしも相手を喜ばせない現実もある。「して欲しいこと」って、それほど簡単には解らない(すぐに解るくらいの「して欲しいこと」はこの際問題外。)。つまりそこまで読み切れる関係が手に入るまでが人間関係の醍醐味でもあるし、完璧には無理だとも思うし……。
実際、話の中でも2人の行き違う様子が悲しい。右往左往する啓吾の姿や不可欠な美奈の行動など「もしも、私があなただったら」という想像に遠いモノを感じる。努力してもやはりこれが限度、という話なのかなー。いや、やっぱり2人には想像力が欠けている。いい年をした2人の恋が、なんだか未熟な若者のようなのはそのせいかもしれない。
(白石 一文著)
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