映画 『ボルベール 』

ドラマチックな展開もなく、と書き始めて、アレと思い直す。淡々と過ぎる日常の中に、山ほど事件があったではないか。義父を殺してしまった少女、実父の子を持つ母、幽霊と化し姉妹の面倒をみる老婆……。そんなトンでもない話が、女の底力に押されて小さな事のように思えてしまったのだ。

この映画の中には弱い女はいない。男はハナからいない。女の人生のちょっとした飾りのような男たち。女たちは、生きていく道がちゃんとわかっているような健気さと精一杯さを見せる。「生きていくってこういう事よ!」って、画面から言い放たれた感じ。

生活感溢れるペネロペ・クルスは、今まで見た中で一番良かった。たくましく早足で歩き回る彼女から下町のおばちゃん(若くて綺麗すぎるけど)のニオイがした。

(新宿 武蔵野館)

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