元(って、いつなんだ)に戻れたら……という思いはあるけれど、でも過去の自分に触れる勇気はないなー。「もう死んでもいいかな」と思った主人公に近づくオデッセイ。それに乗り込んだ彼は自分の過去へと束の間戻る。崩壊した家族、死にかけている父親、耐え難い状況を見る未来の自分は、その時家族や父が伝えきれなかった事や、主人公が受け取らなかった相手の気持ちを、あたふたしながらも感じていく。その時に戻った自分は、違う自分として動こうとする。容易い現実ではないが、ともかく彼は前とは違う。
とはいえ、私はやはり過去に触れる勇気がない。
(重松 清著)
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