『ユナイテッド93』

全員が死んでしまっているから、機内で起こった事は本当には何もわからない。管制塔に届いた交信や会話、家族にかけられた乗客の電話から想像できる事で作られた映画であると思う。

政治的な事、宗教的な事には触れず、まさに起こっているテロの現場を淡々と追う画面。テロリストも乗客も震えながら、それでもなすべき事をする。隙だらけのテロリストに、切羽詰まった乗客。適切な対応に焦り、冷静さを欠く軍。密な連絡をとれぬ軍、航空会社、管制塔。やはり地上もこのようであったのだろう。

これほどのテロは想定外だったにしろ、その最中にアメリカ上空を4200機の飛行機が飛んでいて、ハイジャックされた飛行機を特定するのにも時間がかかる、こんな現実はテロ後(映画観賞後)に残った恐怖である。

映画のはじめにテロリスト達の様子を少々長く(この映画の割合からすると)追うし、機内でも人殺しの冷徹さなどは描かれず、神か自身の死か判らないけれど、おののき涙する場面がある。テロリストを糾弾する事を避け、白黒つけず描くという姿勢を感じるが、それはテロリスト寄りともとれる画面を作っている。あのアパートの場面は、彼らを理解しなさいと誘われているようにも感じるもの。

(錦糸町 楽天地)

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