『模倣犯』

天才的犯罪者による、ゲームのような緻密で残酷な犯罪と、それに苦しみおののく被害者と家族。一つ一つの事件や出来事が、加害者と被害者の両方の視点から語られ、その精神の落差に怖さが増す。別の事件の被害者も絡み、犯罪(確信的)被害者の割り切れない逃れきれない苦しみも伝わる。

途中まで影のようにも見える、人生全てが狂っているような主犯の男。歯車がずれて、計画が別の結果をもたらした時、表舞台へと暴走を始める。皮肉なタイトルでもある模倣犯ではない彼が、模倣という言葉にそれまでの冷徹な感性を一気に沸騰させて自滅への道に踏み出す。

全5巻(文庫)は長く、中ほどでちょっと疲れを思えたものの、細かな描写にこの事件の顛末をさもありなんと納得させられたのであった。

(宮部みゆき著)

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