『四日間の奇蹟』(浅倉 卓弥)

この頃ときどき娘の本棚を物色して、本を借りている。これもその一冊。映画がヒットしたので(見ていないけれど)、読んでみることにした。

不慮の事故でピアニストの夢を絶たれた敬輔とその事故の原因ともいえる少女・千織は、事故後家族として暮らしている。 敬輔は、千織の音楽的な才能に気づき、自ら指導し始める。そして豊かな才能に恵まれながら精神に偏りのある千織の演奏の場を施設などに求める。

演奏のために出向いた、とある療養センターで、それまでにない反応を見せる千織に驚く敬輔。千織はその施設で明るく忙しく働く女性・岩村真理子に出会い、響き合う。落雷事故にあった2人は病院に担ぎ込まれる。回復に向かう千織に反し、真理子は瀕死の状態が続く。

ベッドで目覚めた千織は、自分は真理子だと言い、死までの束の間千織の体を借りているらしいと話す。真理子がその明るさの裏に秘めた苦しみに満ちたそれまでの人生を振り返り、敬輔と共に涙するが、その人生は心から誇れるモノだったことが次第に判り、真理子は大きな安堵と充実の中、死へ旅立つ。真理子の死によって本当の目覚めを迎えた千織は、精神の偏りからだんだんと解放されていく。

二つの人生を歩くコトは出来ないが、真理子は千織の体を借りて4日間を別の人間として生きた。その4日間の彼女の時間は、私が欲しいと強く願う時間でもある。自分の人生がどのようなモノであったか、それは過ぎさった時に思う種類のコトではないかもしれないけれど、もしそれが許されるなら、話しておきたいことや、尋ねてみたいことや、納得したいことやがある。たとえ人生の最後であって、それを想う時間や生かす時間がないとしても、私は本当の自分の人生を感じてみたいと思う。

文庫の433頁からは本当に涙で読み進むのが辛かった。ストーリーの主要な部分を担う千織と敬輔にはあまり目がいかず、真理子にばかり気持ちが動いてしまうのが自分でも不思議。

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