5年間の看病の末、天才数学者の父(アンソニー・ホプキンス)を亡くした直後のキャサリン(グウィネス・パルトロウ)は、時に、父からいたわりの言葉をかけられる幻覚を見ながら呆然自失の時を過ごしている。別の部屋では、父の教え子ハル(ジェイク・ギレンホール)が、闘病中に何か研究の成果を残しているのではないかと父親のノートを読みあさっている。
父を失った失意の中、もう一つ彼女を苦しめている事が……。看病の間、異常の世界に住む父を見ることで自分の確かさを感じていた彼女。その父を失った時、自分が父をも越える才能を持つ事を知るキャサリンは、それが父の病気(精神異常)へ繋がるのではないか恐れる。しかしその事は彼女の望まない形で彼女を気遣う姉クレアも、彼女をずっと好きだったハルも知らない。
葬儀の日ハルと恋に落ちたキャサリンは、翌日彼に父の机の中に世紀の発見となる数学の証明がある事を知らせる。実はその証明は彼女のモノなのだが、偉大な発見、父と似た筆跡、父愛用のノートという事で、ハルも姉もキャサリンの言葉を信じきれない。
精神に異常をきたしながらも数学に導いてくれた父への感謝と、証明をやり遂げた自分への恐れから、その成果を父の机の引き出しに封印した彼女。その証明への疑いは、彼女を打ちのめす。決定的な証拠を示せない自分のもどかしさは、ハルへの失望感をより大きなものとし、自暴自棄のうちに姉の提案を受け入れようとする。一方、ハルは彼女を信じ、その証拠集めに奔走する。彼女への愛が真実を突き止め、不安の囲いの中から彼女を解放する。信じる事と愛する事の間にある、難しさやいらだち、辛さがヒリヒリと胸に迫った。そしてグウィネス・パルトロウの心にしみる演技に何度も涙した。
(新宿 武蔵野館)
コメント